[コラム]最低手数料をチェックせよ

会社売却時に売却手数料を気にするのは当然ですし、事実、多くの経営者が比較検討をしています。しかし、比較検討のポイントを押さえておかないと後悔することになりかねません。

近ごろは契約金、着手金、月額顧問料は無料で、完全成果報酬制を謳う企業が一般的になってきており、中小企業が当初の持ち出しなく会社売却ができる環境が整ってきたと言えます。ほとんどの業者が成果報酬額についても見やすい料金表を掲載しており、価格感が掴めるはずです。ポイントは料金表の欄外の脚注にあります。目立ちませんが「ただし上表によらず、最低手数料は2,000万円とする」等の文言が記載されているはずです。最低手数料はほとんどの会社が設定しておりますが、問題はその額です。

具体例で考えてみましょう。
売上高15,000万円、営業利益1,000万円、借入金3,000万円の会社があったとします。業績は良いものの、典型的な中小企業といえそうです。

個別要因は無視しますが、この会社の価格を5,000万円(株式時価総額+借入金)とします。特に違和感のある金額ではありません。この価格では、最低手数料が適用されるのが一般的です。

続いて、社長の手取り額を計算します。(税金は20%と仮定します)

 

1.最低手数料が2,000万円のケース

株式時価総額=5,000万円-3,000万円=2,000万円
社長の手取り額≒(2,000万円‐2,000万円)×(1-0.2)=0
「比較的業績の良い今回のケースでも社長の手取りは0という結果になってしまいます。
これでは何のための売却でしょうか?確かに従業員の雇用が守られ、取引先にも迷惑を掛けませんが、一番苦労をした社長が犠牲になって良いものでしょうか。」

 




 

2.最低手数料が2,000万円、借入金はなし

普通に業績が良いだけでは手残りがありませんでしたので、これに無借金の条件を加えます。

社長の手取り額≒(5,000万円‐2,000万円)×(1-0.2)=2,400万円
社長の手取り率=2,400÷5,000=48%
「無借金で営業利益1,000万円ですから明らかに優良企業です。ここに至るまで、社長には大変な苦労があったと思いますが、最後の手取りは2,400万円で、業者が得る手数料は2,000万円です。さらにこの業者が仲介であれば、業者は買い手からの手数料の2,000万円を加えて4,000万円になります。納得ができますか。」

 


 

3.最低手数料が500万円、借入金なし

社長の手取り額≒(5,000万円‐500万円)×(1-0.2)=3,600万円
社長の手取り率=3,600÷5,000=72%
「これならば社長も納得するのではありませんか。」

 


 

まとめ

かなり業績の良い中小企業であっても最低手数料2,000万円では、社長の手残りが0の事も、業者への支払額と同額レベルとなることもある。おそらくほとんどの中小企業においてこの最低手数料は負担が過大。2,000万円の負担感が許容できるのは中小企業でなく中堅以上、営業利益で5,000万円以上の会社だけでしょう。業者選択の際には、想定される会社売却価格と最低手数料を比較した上で決めることをおすすめします。

価格コムさんあたりが、業者の比較サイトを作っては頂けないものか。手数料額と評点の2点で比較すれば、経営者にとって有益な情報になるはず。


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「かいしゃ売却の窓口」では、最低報酬金額を500万円に設定しています。また、出版記念として2018年12月末までに契約のお客様は300万円(税抜)に設定していますので、是非この機会にご相談ください。